碓氷峠　熊野神社　県境鎮座（長野県・群馬県）

社宝（その１）

[　○番号により社景図内（前ページ）に場所を示す　]

②石の多重塔

南北朝時代（文和３年：１３５４年）に、やはり「二世安楽」を願って建てられたもの。

現在、六重であるが、天明３年（200年位前）の浅間山の大噴火による灰の堆積等で崩れ、上部の一石が紛失したと云われ、本当は七重とのこと。

武蔵野戦にて亡くなった武士の遺骨を納めたと伝えられる。

③建物彫刻

本殿三社、特に群馬県側の新宮殿の彫刻が見事である。日光東照宮を手掛けた左甚五郎の弟子達が、江戸時代上期に手掛けた建物で、彩色はないが、確かに日光東照宮の彫物と酷似している。

④石の風車

江戸時代（明暦３年：１６５７年）中仙道往来の旅人が石の風車と見て親しみ、「碓氷峠のあの風車　誰を待つやらくるくると」と追分節に唄われ、馬子から馬子へと全国に伝わった。

実は神社石段を築造した佐藤平八郎、佐藤市右衛門の「二世安楽」を願って次代の市右衛門が佐藤家の家紋（源氏車）を刻み奉納した物。

⑤狛犬

当社に何体かある狛犬の中で最も古いもの。

室町時代中期の作と伝えられる。長い胴と一見して「なまず」か「猿」に似た顔つきが太古の風格を持ち、参拝者の心を和ませる。石の狛犬としては日本でも初期のものとのこと。

⑥神楽殿（拝殿）天井絵

江戸時代中期（文化２年：１８０５年）中冬に青雲齋良山という雅号を持つ人の手による。上州側にこのほか動物、鳥、鼻、金魚等を描いた１４枚が残されている。神楽田入口の向拝部の天井の龍も同じ作者。

⑦随神様（右大臣）

これは明治時代の初期に作られたもの。胴体内に作者名が墨書されている。現在の随神の一代前のもので、もう一体（左大臣）は信州側の那智宮殿に納められている。

⑧絵馬（歌川芳輝画）

江戸時代中期(天保１１年：１８４０年）当国安中宿の柳澤庄七、次郎吉が奉納した絵馬。神功皇后とその子（応神天皇）を竹内宿禰が抱かかえている様子と伝えられる。